暦学入門


土公神と土用

 

土用 (どよう)とは、        

太陽黄経:27°, 117°, 207°, 297°

太陰太陽暦では立春、立夏、立秋、立冬の前18日間あるいは19日間を指します。

 

陰陽五行では、四季を五行にあてはめた際、土に配当すべき季節がなかった。そこで、二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の前18日間あるいは19日間を土に配当し「土用」と名付けたのです。この期間は土の神様が地中にいるので土をいじったり、掘ったり、建物を建てたりしてはいけないとされています。

 

 では、土の神、土公神(どこうじん)とはどんな神様なのでしょうか。

 

 土公神はもともと方位の神の一人であり、遊行神とも云われ、決まった日に決まった方位に座する神のことです。春は東(戊虎の日から六日間)、夏は南(甲午の日から六日間)、秋は西(戊申の日から六日間)、冬は北(甲子の日から六日間)に座するとされ、この方位への旅行や遠出・移転などを避けたようです。

 

 この土公神の遊行日敷地にも取り入れられるようになり、春は竈、夏は門、秋は井戸、冬は庭といった具合に、それぞれ三か月間ずつ滞在し、土用の期間に限っては地中に潜るとされました。そのために、土公神がいる春は竈をいじらず、夏は門を、秋は井戸を、冬は庭を、そして土用は土をいじってはならないとされてきたのです。

 

 春夏秋冬の四回の土用を合せると七十三日にもおよび、この土用の期間中、いっさい土を動かすことができないとなれば、非常に不便であるため、昔の人は間日(まび)という日を設けました。この日には、文殊菩薩のはからいで、土を動かしても崇りがないと云う事にしたようです。

[土用の間日]

春の土用:巳・午・酉の日

夏の土用:卯・辰・申の日

秋の土用:未・酉・亥の日

冬の土用:寅・卯・巳の日

 

●四季と土用の作用(「こよみ読み解き辞典」より抜粋)

 一年は春夏秋冬の四季の循環によって推移します。その循環には一つの原理があります。

 陰陽五行では森羅万象の陰陽二氣の対立において把握されますが、実は万象の把握にはそれだけでは不十分で、万物は対立すると同時に、循環するものでもあります。

 陰である冬はやがて陽氣を発動の春となり、盛陽の夏を経て、陰のきざす秋と変わり、万物の枯死する極陰の冬となります。これは自然の理であります。

しかも、冬は直ちに春に移るのではなく、春もまた突然に夏になるのではありません。四季の間には、そのいずれでもない中間の季があります。これが各季節の末におかれた、十八日間の土用です。

 土氣には万物を土に還す作用と同時に万物を育む作用があります。この作用によって、衰えていく季節を消し、盛んになる季節を育む。これによって四季は順当に推移するのであります。