庚 申 (こうしん)


庚申「庚申待(こうしんまち)※ ①」庚申祭 宵庚申

天干「庚」 地支「申」 両方共に剛金(五行の金)

殺氣と冷氣の満ちる日で、

天地万物の氣が冷やかになる忌日(いみび)※ ②の最たる日となり、庚申様と呼ばれ、仏教では帝釈天(たいしゃくてん)、神道では道祖神と結びつき十二支の申(しん)から猿田彦命(さるたひこのみこと)※ ③を祭る。

庚申の夜は徹夜。寝ると人間の体に住む三尸(さんし)※ ④の虫が体内より抜け出て天帝にその人の悪事を告げて寿命を短くする。

庚申の夜に夫婦愛し、懐胎すると生まれた子に盗み癖があると云われた。

江戸歌舞伎 河内黙阿弥(もくあみ)作「三人吉三(さんにんきちさ)」 ※ ⑤

庚申の夜、盗賊三人が兄弟契りをする。

※ ①庚申待:日本の民間信仰で、庚申の日に神仏を祀って徹夜をする行事。

※ ②忌日: けがれを避けて慎むべき日。

※ ③猿田彦命=記紀神話の国つ神の一。「ニニギノ尊」降臨の際、先頭に立っ て道案内し、のち伊勢国五十鈴川上に鎮座さたと云う。容貌魁偉で鼻長七咫(あ た)、身長七尺余りと伝える。日本書紀には、これを俳優または衢(ちまた、猿 田彦神の異称)の神とした道祖神。 中世に至り、庚申の日にこの神祀り、また、道祖神と結び付けた。天宇受売命。 ※ ④三尸:道教に由来するとされる人間の体内にいると考えられていた虫。

※ ⑤「三人吉三」大川端庚申の場(セリフ)

月も朧(おぼろ)に 白魚の

篝(かがり)も霞(かす)む 春の空 

冷てえ風も ほろ酔いに

心持ちよく うかうかと

浮かれ烏(からす)の ただ一羽

ねぐらへ帰る 川端で 竿(さお)の雫(しずく)か 濡れ手で粟(あわ)

思いがけなく 手に入る(いる)百両

 (舞台上手より呼び声)     

   御厄払いましょう、厄落とし!

ほんに今夜は 節分か

西の海より 川の中

落ちた夜鷹は 厄落とし

豆だくさんに 一文の

銭と違って 金包み

こいつぁ春から 縁起がいいわえ