昭和十九年 二黒土星 甲申歳


 二黒土星命の象意は寛容、忍耐、柔順、服従、勤勉、努力等、辛抱、我慢の象で「グズの二黒」と言われるが、この年の干支からみると二面性をもつ象となる。

 昭和19年は第二次世界大戦も終盤近く、米空軍による本土空襲も日夜を問わず来襲し銃後を守る婦人会はモンペ姿も凛々しく竹槍で米兵撃退の猛訓練で明け暮れていた時代で、まさに忍従苦渋(にんじゅうくじゅう)の時代であった。

 環境は第二の運勢と言われるが「グズの二黒」もグズではいられなかった時代である。

 

 甲を干とし、申を支とする歳はこの後61年目の平成16年五黄土星年となる。

 甲は「かいわれ」と読み。種が根を土中に伸ばし、地上に発芽する為に殻を破ることである。殻に閉じ籠められた種が水氣や地熱その他自然現象に依るだけでなく種子エネルギーによるかいわれ現象を起こすことを深く認識する必要がある。人事に当てるなれば環境により変化するのではなく環境を自からが作り旧来の陋習(ろうしゅう)を改良改善し変化することである。この現象を孚甲(ふこう)又はかいわれと云う。又、伏甲(ふくこう)とかき鎧(よろい)を着た兵士のことを言う事から常在戦場(じょうざいせんじょう)の意を表する。

 昭和16年五黄土星中宮年に開戦し、昭和20年に敗戦となった。この過去の現実と平成16年五黄土星中宮甲申歳に軍隊ではない軍隊と云われる自衛隊が米国の要請を受けてイラク派遣に及んだ今後の成り行きに注意したい。甲の原義に押す、狎(な)れるがあるが、機を得て解説する。

 支の申(さる/しん)と読む。申(さる)は猿ではない。申(しん)は稲妻、雷光のことである。神、電の源字とも言われている。又拡大して伸びる。背筋を伸ばし、紳にもあてる。ここに至り総合すれば上記した二面性「グズ」と稲妻の如く素早い決断力、行動性が共棲しているように思われる。

 又、広辞苑を見れば「得手(えて)」の項に猿の異称でサルが「去る」に通ずるのを忌み嫌ってえてきち。えて公。と呼ぶとある。

 

 この年の二黒は「グズの二黒」ではなかった。猿が「ましら」と呼ばれた時代に還って活躍しなければならなかった。

 

 

*生まれた人

 

 黒沢年雄[俳優]、高橋英樹[俳優]、竹脇無我[俳優]、前田吟[俳優]、緑魔子[俳優]、マイク真木[歌手]、久米宏[アナウンサー]、杉良太郎[歌手]、みのもんた[タレント]、梨元勝[芸能レポーター]、舟木一夫[歌手]、みなみらんぼう[シンガーソングライター]、尾崎紀世彦[歌手]、松原智恵子[俳優]、佐良直美[歌手]、三木たかし[作曲家]、落合恵子[作家]、おすぎ[映画評論家]、ピーコ[ファッション評論家]、佐高信[評論家]、本間千代子 [俳優]