血液型性格判断


 血液型性格判断は、古川竹二( 1932)によって提唱された「血液型気質相関説」に起源をもつ。古川は遺伝と性格の関係から直感して、遺伝的な血液型と気質との関連を発想したという。この説の信慿性はありませんが、広く大衆に受け入れられています。しかし、心理学的には、それを積極的に主張できる論拠は見つかっていません。
 社会心理学者の大村政男(1990)は血液型性格判断がなぜ根拠が薄いのに信じられるのか、あるいは「あたっている」と感じる人が多いかを説明するものとして、FBI効果というものを提唱している。
 というのはFree sizeのことであり、フリーサイズのTシャツは誰にでも合うようにできている。それと同様に血液型占いでは、誰にでもどこかしら当てはまるような性格特徴の記述となっているというのである。たとえば「あなたは人の中では自己主張をつい遠慮してしまうところがありますね」という誰にでもあてはまるような性格記述は、たいていは誰もが自分のことを言い当てていると捉えてしまう。
 とはlabelingである。即ち周囲の人が特定の血液型の人の言動を解釈する時にラベル(レッテル)を貼って色眼鏡でみて意味づけるということである。たとえば、ある人が大雑把な行動を示したとすると「やはりあの人は×型だから、大雑把だ」と解釈する一方で、同じ大雑把な行動をとっても、几帳面だといわれる血液型の人の場合、その側面が無視されたり「○型の人でも大雑把なところがあるのだ」と解釈されたりするのである。
 とはImprintingである。すなわち人は、あなたはかくかくしかじかの性格だといわれると、自分でもそう思い込み、それに合うように振る舞っていくものである。これは心理学では、その言説に自分を同一化して作り上げるidentification※ という現象と
関わることである。
  
 血液型性格判断は、すでに仮説された前提に自分の性格をあてはめて考えるということがなされる。これに対して心理学は十分に科学的根拠が得られるように、厳密な調査や臨床上の観察がなされたうえで帰納的に提唱されているという違いがある。