ビッグ・ファイブ(特性論)


  これまでご紹介したクレッチマーやユングの類型論では、人間の性格をせいぜい七つぐらいまでの型に分類されることが多い。これは類型が多くなるとそれらの差異が直感的に分かりにくくなるからである。そのためにどの類型にも属さない型が生じてしまいます。この欠点補ったのが今回ご紹介する特性論です。
 特性論とは、性格特徴の基本的な要素(成分)を想定し、それを個人がそれぞれどのくらいの比率で併せもっているかで、個人の性格を記述するものです。その代表的なものとしてビッグ・ファイブをご紹介します。
 ビッグ・ファイブは人間の様々な性格特性を因子分析によって最終的に五つのカテゴリー(特性)にまとめました。その五つの特性とは、「外向性」「調和性」「誠実性」「神経症的傾向」「経験への開放性」です。すなわち、人の性格は、外向的であるかどうかに関わる領域、他人と強調し調和的にやっていくかどうかに関わる領域、まじめに誠実に役割をこなしていくかどうかに関わる領域、情緒が安定しているかどうかに関わる領域、新しいものを柔軟に受け入れ洗練された感性をもっているかどうかに関わる領域の五つに分けられるというのである。
 多くの研究者がおこなってもほぼ同じ結果が安定して得られることから、ビッグ・ファイブは人間の性格をなす基本的な次元であると考えられています。