昭和十年 二黒土星 乙亥歳


 二黒土星命の定位置は南西60°の範疇で坤(こん)宮と称する。坤は根(こん)に通じ土中で力を発揮する性だとし老母、母、妻を示し「母なる大地」とも言われている。蔭で本領を発揮し「燻し銀」の先を思わせる。

 従って処世はトップの座で、活動するよりも参謀、顧問、脇役、番頭役が適職で実力を表わす。5年間の衰運がようやくにして終り、盛運(せいうん)の第一歩が坤宮で、前半は衰運の尾を引き憂慮することもあるが、後半から開運の兆(きざし)を見せる。故に「先憂後楽運気(せんゆうこうらくうんき)」とも呼ばれている。衰運氣に脱皮を志し、深い思念から生れた企画立案を具体化する好機到来の年に当たる。


 この歳は干を乙(きのと)とし、支を亥(ゐ)とする。専門的には乙(おつ)亥(がい)と言う。

 乙(きのと)は甲(かいわれ)に続き種が発芽し空中に伸び、根毛(こんもう)は土中に侵入して養分の吸収活動を始める天にも地にも抵抗があるので身をくねり進む姿から象形したものらしい。

 又、一説では天地の抵抗と戦うため上下に両刃(もろは)のある武器と解している。いづれにしても処世に当たる抵抗勢力との軋轢(あつれき)が絶えないことから乙(おつ)の原義を軋(きしむ)とする。

 

 (い)は猪ではない。原義は亥(とざす)又は核(かく)と云い、亥(がい)とも読むことから亥(がい)と言う。

 十干、十二支は共に年、月、日、時を示す循環序数詞(じゅんかんじょすうし)で、亥月(いづき)は11月晩秋を示すことから収穫した種(核)を収蔵することから(とざす)となる。

 又、干支と共に納音(なっちん)占いも人の氣に含むと言われ、この歳生れを山頭火(さんとうか)と占い、その意は山頂の火は弱く燃え上がるが物を焼く火力は少ないように高遇の氣を含むが力量の足りぬ傾向があると解している。ともあれ二黒土星の氣は優しく争い事を好まず柔軟に対処し、勤勉で辛抱強い特質で他人が見るほど本人は苦痛と感じていないから不思議と言わざるを得ない。


ジッと時の来るまで我慢です達磨大師のように。

 

*生まれた人 


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